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Rev.02.01


Shade、Poser、 Cinema4D におけるタブレットでのオペレーションについて 


 毎度毎度、あまり役に立たない内容で恐縮(笑)。
 
 今回のネタはタブレットです。
 2D アプリのユーザーなら兎も角、3D 関連のユーザーでタブレットを利用している方はどのくらいの割合なのでしょうか。
 個人的には PC のポインティング・デバイスとしての『マウス』が、元々あまり好きでないので、基上は随分前からタブレット派なのです。
 PC 操作に関して基本的なオペレーションはすべてタブレットで行っていますが、マウスに「スクロール・ホイール」が装備されるようになってからは、Web のブラウジングだけにはマウスを利用することが多いですね。画面端のスクロールバーをタブペンで操作するよりは、マウスのスクロールホイールを転がした方 が楽なので。
 
 マウスはタブレット付属のワイヤレスマウスが利用できるので、一般的なマウスパッドがタブレットに置き換わっただけみたいな物です。一般のワイヤレスマ ウスは電池が必要ですが、タブレット付属の物なら電池不要なので経済的でもありますか。タブレット上でしか使えないと言う制約はありますが。
 私のマシンの場合、補助のポインティング・デバイスとしてトラックボールも接続して有ります(※PS/2 - USB 変換コネクタで PS/2 ポートに接続)。

 作業はメイン PC とサブ PC とに振り分けて行っているのですが、タブレットは必要に応じて USB コネクタを差し替えて共用しています。この時、タブレットを外した側の PC ではポインティング操作が出来なくなるので、その場合はトラックボールで操作するわけですね。簡単な設定の変更や、フォルダの開閉ぐらいならタブレットを 接続し直さなくても十分操作できるので。
 
 こんな感じで、タブレットはマウスと併用する事も出来る…と言うか、併用して双方の良いところを活用していくのが 吉ではないかと。
 取り敢えず、WACOM 製のタブレット(主に Intuos / FAVO)を念頭に、私が使用している 3D アプリにおけるタブレット・オペレーションの勘所とか、つらつらと述べていきたいかと思います。
 
 
1.タブレットの基礎
 
 先ずはタブレットを使ったことのない人のために、タブレット・オペレーションの基本から。
 タブレットを何処に置くか?…これは、人それぞれのようで。大きく分けて、1).モニタの正面がタブレットでキーボード は横2).モニタ の正面がキーボードでタブレットは横、の二種類かと。因みに、基上は 2).です。
 中にはモニタの正面にキーボード、その手前にタブレット、と言う人もいるかと思いますが、極論としては、使う人が考えやすい配置でいいで す。「こう置くべきだ」的な配置はありません。
 どうのようにタブレットを配置したところで、モニタ上のカーソルとタブペンを動かす位置がずれていることには変わりはないので、モニタ上のカーソルを見 ながら手を動かす事に慣れればそれでいいわけです。
 タブペンが所謂「筆記用具」的であるために、手元を見ないで手を動かすことに違和感(もしくは否定的な先入観)を持つ人が少なからず居るようですが〜マ ウスだって同じ事をやっているわけですから、マウスが操作できる人ならタブペンの操作は間違いなく出来るはずです。勿論、マウスとは違う種類の「慣れ」が 必要になりますが、それは人間の順応性で克服可能なレベルです。人間の「勘」と言う能力を見くびってはいけま せん。
 
 タブレットとマウスとで一番違うのは、座標の取り方でしょうか。
 マウスはカーソルの現在位置に対してマウスの移動量でカーソルの位置を調整する「相対座標」的な考え方です が、タブレットは画面の座標とタブレットの座標とが一対一で対応している「絶対座標」的な考え方です。
 マウスは画面の端から端までカーソルを移動させるのに、移動解像度の設定が大きいとマウスを何度も動かす必要が生じますし、逆に移動解像度の設定が小さ いと画面上で長距離の移動が早くなるものの、移動量が小さい時にポイントし辛くなります。
 タブレットは座標が画面と一対一で対応しているので、端から端までカーソルを飛ばすのも一瞬で移動できますし、慣れれば直感的にポインティング出来ます が、画面上での微妙なカーソル移動は苦手です。
 どちらにも一長一短有る訳ですが、感覚的で精度のいらないポインティングにはタブレット、微妙な位置調整の必要なポインティングにはマウス、と使い分け るのがいいのではないか、と。実際、私はそのように使い分けています。
 
 マウスには基本的には二つのスイッチが付いていますが、タブレットのペンにはスイッチ(サイドスイッチ)が一つだけ付いています。
 タブペンのサイドスイッチはマウスの「右スイッチ」に対応する物で、タブペンのサイドスイッチを押すことはマウスの「右クリック」に対応します。
 では、もっともよく利用するはずのマウス「左クリック」に対応するのは何か?と言うと、タブペンの先端でタブレットを叩くことで「左クリック」を行いま す。タブレットの場合はコレを「タッ プ」とか「タッピン グ」とか言いますが。
 ペンでタブレットを1タップでシングル・クリック、2タップでダブル・クリックになるわけですね。
 タップしたまま、ペンをタブレット上で移動させれば、マウスで言うところの「ドラッグ」になるわけです。
 
 例えば、ファイルをフォルダから別のフォルダへ「ドラッグ」して「ドロップ」するのをタブレットで操作する場合。目的のフォルダの位置へタブペンをタブ レット上で浮かしたまま移動させ、目的のファイルにカーソルの位置が合ったらそこでタッピングします。そこでペンを浮かせないで目標のフォルダへ移動さ せ、目標のフォルダはカーソルが移動したらペンをタブレットから浮かせます。以上で終了。
 文章で書くとなんだか小難しいですが〜少なくとも、マウスでドラッグ&ドロップを行うよりもよほど直感的に操作が出来るは ずです。
 このドラッグ&ドロップという操作は、長時間続けるのは意外としんどい物で、私は1時間も続けていれば右人差し指が引きつってきます。ペイント ソフトで 2D 画を描く操作や、3D アプリでモデリングを行う際のオペレーションは、まさに、この「ドラッグ&ドロップ」の繰り返しなので、そう言う作業をされる方には是非、タブ レットの使用をお薦めしたいわけです。
 
 勘のいい人ならもう分かっていると思いますが、タブレットからペンを浮かした状態でペンのサイドスイッチを押すと「右クリック」なので、タップ状態でサ イドスイッチを押すと「左右クリック」になるわけですね。滅多に使いませんが。
 
 
2.タブレットで Shade
 
 タブレットで Shade をオペレーションする場合、特に設定とかは必要有りません。
 適切にタブレット・ドライバがインストールされていればそのままタブレットでオペレーションできます。
 そんなわけで特に書くこともないのですが〜表示画面のスクロールについてちょっと。
 
 R8 シリーズ以降、表示のスクロールが「pan」ツールとして「スクロールモード」と「回転モード」としてモード化されましたが、R7 シリーズまではこれらの表示モードは有りませんでした。
 では、R7 まではどのように表示を動かしていたか?といいますと、キーボードの「スペース」バーを押しながらマウス・ドラッグで「スクロール(平行移動)」、キー ボードの「シフト」+「スペース」を押しながらマウス・ドラッグで「回転」だったのです。特に、このショートカット+ドラッグで表示回転の事を「ろくろ機 能」とか呼んでいました。
 このショートカット方式は、現行バージョンでも有効なはず(※R9 シリーズは知りませんが R8 では有効でした)なので、ツールボックスで「pan」モードを切り替えなくても利用できて便利です。
 
 ここで、タブレットの場合なのですが〜WACOM 製のタブレットのペンは、サイドスイッチが見た目1つですが、機能的には2つのスイッチが内蔵されているのを私は利用しています。
 サイドスイッチの下側はデフォルトでマウスの右スイッチに対応していますが、サイドスイッチ上側を「シフト」キーに割り付ける事がタブレットの設定で可 能なのです。
 そう設定すると、画面平行移動の時は、左手でキーボードでスペースを押しながらタップ・ドラッグ。画面回転の時は、左手は平行移動時と同じくキーボード でスペースを押しながら、右手ではサイドスイッチ上側を押しながらタップ・ドラッグと使い分けることが出来るのです。要するに、左手で「シフト」キーを押 すか押さないかではなく、右手でサイドスイッチ上側を押すか押さないかで表示平行移動と表示回転とを切り替えるわけですが。
 表示の移動はモデリング時はかなり頻繁に行うので、左手の2キー同時押しよりは、右手のサイドスイッチ上側の方がかなり楽に操作出来るようになります。 まぁ、慣れの問題もありますが〜Shade をお使いの方は一度お試しあれ。
 
 
3.タブレッ トで Poser
 
 Poser も適切にドライバがインストールされていれば、タブレットで操作が可能です。
 Poser6 の英語版、SR3 以降では、タブレットでの操作がより行いやすく出来るように「General Preference」の「Interface」に「Tablet Mode」と言う項目が追加されました。当然、Poser7 の英語版にも同様の設定が有ります。生憎と、Poser6 の日本語版には SR3 がリリースされていないので、この機能が利用できません。Poser7 の日本語版は所有していないので、正確には分かりませんが「環境設定」の「インターフェイス」に同様の項目が追加されているのでは無いかと思います。
 この「Tablet Mode」オプションが追加される以前は、特に、カメラ・コントロールをタブレットで操作していると一気にカメラが移動してしまい何処を見ているのか分か らなくなる〜と言った状況がよくありました。
 
 これはタブレット操作に限った話ではありませんが、カメラやスポットライトの位置・角度調整は、1).トップカメラ表示で大雑把な位置と向き を決め2).目的 のカメラ(ライトカメラ)表示に切り替えた後はパラメータパレットのダイヤルで調整、と言った手順を踏んだ方がいいと思います。急がば回れ
 
 カメラやライトにせよ、フィギュアのポーズにせよ、最終的にはパラメータパレットのダイヤル操作で微調整することになりますが、マウスカーソルでダイヤ ルを少しずつ回すよりも、数値を直接入力してしまう方が早い場合もあります。そう言ったときはタブレットの方が便利で、数値表示部分を2タップして詳細設 定 ウィンドウを開き、数値を入力して「Enter」キーか「OK」。この間、タブペンは持ったままでキーボード操作が出来る訳です。マウスだと、キーボード 操作の間はマウスから手を放し、再びマウスをつかみ直す〜と、マウスをつかみ直す際には普通、視線はマウスの方へ外れるのですが、タブレットの場合はペン を持ったままなので、視線はモニタへ向けたままでも作業が出来るわけです。
 コレは表情モーフを組み合わせで複数続けて調整する際や、DC / DH のシミュレーション設定値を続けて入力するような場合に意外と便利なのです。細かい話ですが(笑)。
 勿論、タブレットのペンでもパラメータパレットのダイヤル操作は出来ますし、この操作はマウスでは「ドラッグ&ドロップ」に他ならないので、タ ブレットの方がより直感的に操作できますし指も引きつりません(笑)。
 
 
4.タブレットで Cinema4D
 
 Cinema4D をタブレットで操作する場合は、「一般設定」の「グラフィックタブレット」の項目にチェックを入れておく必要があります。コレをチェックしていないと、カ メラ操作で一気に現在位置を見失ったりします。
 後、「エディタビューの回転方向を反転」の項目にチェックを入れておくと、Shade の「ろくろ機能」と操作-表示上の回転方向が一致するので、私はこのオプションを ON にしています。
 
 Cinema4D は、BpdyPaint3D 機能でテクスチャ製作に使用する場合が多いので、タブレットが只のポインティングデバイス以上の本領を発揮出来るアプリケーションですね。

 
 
 さて、前述もしましたが、タブレットは微妙な精度の必要な操作が苦手な面があります。
 特に、モデリング時の頂点移動指定や範囲終点指定のような、ドラッグしてきたポイントにドロップする位置を1ドットでも動かしたくない、と言ったケース です。
 タブレットではペンをタブレット面から浮かすことでマウスで言う左ボタンのリリースを指示するのですが、ペンを浮かす際に目標の位置からカーソルが移動 してしまう事がよくあります。OS が xp から Vista に変わった現在、ドライバの相性の問題もあるのか、そう言ったケースが以前以上に頻発するようです。
 ある意味、原理的にコレは回避しようがない(手をぶれないで垂直に持ち上げる事は不可能…と言うか、そんなことに神経をすり減らしたくはない)ので、そ のようなオペレーションが必要な場合は素直にマウスを使いましょう(笑)
 マウスの場合はドラッグしてきた位置で右人差し指をスイッチから放すだけなので、確実にオペレーションが行えます。
 
 まぁ、なんだかんだ言ってみたところで、タブレットの便利さは最終的には使ってみないと分からないもので。
 その一方で、マウスだけで緻密な画を描いてしまったりする人もいるわけです。慣れてしまえば、10時間ぶっ通しでドラッグ&ドロップやってても 平気な人もいるようで、そんな御仁にはタブレットを薦めてみても余計なお世話以外の何物でもなく(笑)。
 
 ホント、人間の「勘」と言う能力 を見くびってはいけませんわ。

− 了−
 2007/04/05  記


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