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Rev.02.01


Poser 用メカ・プロップの製作について(その3・軸のモデリング)


 毎度毎度、あまり役に立たない内容で恐縮(笑)。
 
 前回はエッジ処理関連でお話が終わったので、今回は Shade によるモデリングについての超具体的なお話。
 話のお題は、メカの構成要素として欠かせない「軸」であります。

 そんなわけで第3回目は Shade ユーザー特化のネタですがご了承を。
 そんな感じで、一席おつきあい下さい。
 
 
1.Shade で「軸」を作る方法
 
 機械要素として「軸」は欠かせない物ではありますが〜まぁ、言ってしまえば、形状は要するに「円筒」または「円柱」であります。
 Shade で製作するからには「自由曲面」でもってモデリングするわけですが、その特性から、方法は三つあります。
 尚、Shade での用語や操作 方法等については、各自マニュアルを参照のこと。

 先ず、一番単純なのが「円」を 作ってそれを「掃引」して製作する方法。
 この方法では、単純な円柱ならば一気に生成することが出来ます。
 但し、単純な円柱しかできないと言う制限もあります。
 
 次が、円柱の縦断面形状を(「閉 じた線形状」もしくは「開いた線形状」にて)作り、それを「回転体」として製作する方法。
 この方法では、軸と途中で径が変わるような複雑な形状の円柱や、内部が空洞になった「管」状の形状が手早く生成出来ます。
 この場合の制限は回転軸に対して対称な円柱しか製作出来ないのが制限となります。

 最後に、円柱の横断面形状を「閉 じた線形状」で作って、それを適切な順序で「自由曲面」パートに入れて製作する方法。
 この方法では複雑な(中心がずれたものや非対称な)円柱形状が製作出来ますが、中心に対して対称な形状の編集を行うのは少々面倒になります。

 以上のようにそれぞれの方法についてメリット・デメリットがあるので、製作者は必要に応じてその方法を選択する必 要があります。
 最も一般的な、単純な「軸」は「掃引」によって作るのが一番楽でしょう。
 始めから縦断面の形状がある程度複雑で、形状がはっきりと分かっている場合は「回転体」として製作する場合もありますが、大概はモデリングしながら形状 を決定したり修正するので、やはり「掃引」から開始するケースが個人的には多いです。
 「自由曲面」パートに「閉じた線形状」が並んで入っていると言う方法は、最終的にポリゴンへ変換する前に必ずこの形になるので、この方法でも形状の編集 が出来ることを理解しておくことが必要です。…と言うか、これら三つの手法の意味が分からないと、Shade でのモデリングは出来ないのですが。

 以上のように、Shade では単純な形状であれば、同じ形状を作るのにも複数の方法が存在するわけですが、「変換/convert」コマンドによってその形状の構成方法を変更する ことが出来ます(※非可逆)。
 「掃引体」を「変換」すると「閉じた線形状」で構成された「自由曲面」パートに、「自由曲面」パートを「変換」するとポリゴン・メッシュへ、と言った具 合です。この「変換」を行うと「アンドゥ」意外では「逆変換」することは出来ませんので注意が必要です。
 また、「掃引体」の状態では紛れもない一体の円柱状ですが、これを変換すると「自由曲面」パートの「円筒(管形状)」の前後に円筒断面の「閉じた線形 状」で「蓋」をした形状に変換されます。これはポリゴン化する際に注意を要する事項なのですが〜私の場合はこの「蓋」は有無を言わさず削除して、別の方法 で蓋処理を行います。

 では、サンプルとして、「掃引体」で製作した単純な円柱から、途中で径の変わる縦断面が凸型の軸を作る手順をご紹介しましょう。
 
 
2.例えば凸型軸のモデリング
 
 
先ずは基準となる「円」を作ります。これにより軸の最初の直径が決まります。
 「ブラウザ」の「ルートパート」に「円」と言う形状が製作されるので、これを選択してから「掃引」コマンドを実行。
 「掃引」によって、円柱の長さが決まります。
 以上で単純な円筒が出来上がり、「ブラウザ」にあった「円」は「円の掃引体」と名称が変わっているはずです。

 この「円の掃引体」を編集して凸型に編集するわけですが、「掃引体」のままでは編集することが出来ませ ん
 そこで、「ブラウザ」の「円の掃引体」を選択して「変換」コマンドを実行します。
 「変換」によって「円の掃引体」は「パート」に「自由曲面」(※「閉じた線形状」二つにより構成)と二つの「閉じた線形状」(※蓋)が入った状態に変換 されています。
 前述の通り、「蓋」が独立した形状だと、後のポリゴン化の時に面倒な事があるので「蓋」用の「閉じた線形状」は削除し ます。
 そうすると、残ったのは管状の「自由曲面」のみになるので、次に開口部を閉じる作業を行いま す。

 先ず、「自由曲面」の中の「閉じた線形状」の一方を選択しその場でコピー&ペーストを行います(※キーボードのショートカット「Ctrl」+「C」と 「Ctrl」+「V」を使うのが最も簡単かと)。
 コピー&ペーストを行うと同じ座標上に同じ「閉じた線形状」が製作されるわけですが、ブラウザ上で一番端の「閉じた線形状」を選択し直して「形状編集 /modify」から「一点に収束」コマンドを実行します。
 これにより、開口部を閉じる処理が出来ます。反対側の開口部も同様の手順で閉じれば、閉じた円柱の形状が出来上がるわけです。
 実はこうやって製作した閉じた円柱は、「回転体」で製作した閉じた円柱形状を「変 換」で「自由曲面」化したものと等価なのです。つまり、このような形状 が最終形状ならば「回転体」として製作した方が早い訳なんですが〜「回転体」は製作する際に回転中心を指示する必要があり、これが少しでもずれると閉じる 部べき部分に穴が開いたりとか、あとで断面形状を編集するのが意外に面倒だったり…まぁ、ケース・バイ・ケースではありますが。

 話を戻して。
 取り敢えず、閉じた円柱にまで形状が編集されました。
 次の作業は径が変わる部分の処理ですが、先ずは径の変わる部分で切断しなければなりません。
 そのために画面上で形状の軸方向を選択するか、「形状編集」で「切り替え」コマンドを実行します。
 Shade はその仕様上、「自由曲面」は格子 状にクロスした二つの線形状から成り立っています。その「自由曲面」を編集する際には、縦か横か、どちらの方向の線形状 を編集しているのかを選択する必要があるわけです。
 軸方向の線形状が選択されると「ブラウザ」の「自由曲面」が四つの「開いた線形状」で構成されている様に変更されているはずです。
 その状態で、適当な箇所で「開いた線形状」を二カ所、切断します。「切断」については Shade 7.5 ではキーボード・ショートカットで「Z」+「X」を押しながら切断箇所をマウスポインタで指定するのですが、Shade8 以降では「ナイフツール」を使用した方が良いのかもしれません。(※Shade7 には「ナイフツール」が無い)。
 二カ所を切断するのは軸に段をつけるためで、段無し、テーパー形状で良ければ切断箇所は一カ所になるわけですね。

 Shade で線形状が切断されると、追加された頂点(アンカーポイント)には自動的に「接線ハンドル」が付加されます。これは追加された頂点を曲線として処理するた めですが、今回はエッジのある「段形状」を考えているので「接線ハンドル」は不要です。
 そこで、「ブラウザ」で「自由曲面」を選択するか、全ての「開いた線形状」を選択して編集可能にし、追加した切断によって追加された全ての頂点を選択し ます。そして「形状編集」から「アンスムーズ」コマンドを実行して、追加された頂点から「接線ハンドル」を消去します。
 
 ここまでの処理が終わったら、編集する線の方向を円周方向に切り替えます。この時点で「ブラウザ」の「自由曲面」は六つの「閉じた線形状」によって構成 されているはずです。
 次の処理として、径違い部分の形状編集を行いますが、これにも二つの手順が考えられます。

 先ず、一つ目。
 「ブラウザ」で下から三つ目の「閉じた線形状」を選択し、「移動」で「均等拡大縮小」コマンドを実行します。次に、「ブラウザ」でしたから二番目の「閉 じた線形状」を選択して、同じように「均等拡大縮小」コマンドを実行します。
 この場合、2回行う「均等拡大縮小」コマンドを同じ拡縮量にしなければなりませんが、それが少々面倒です。
 これは「スナップ」オプションを指定することによって同じように拡大・縮小を掛けることが出来はしますが、スナップによって拡縮量の刻みがある程度制限 されるのが難点でもあります。まぁ、メカ・モデリングの場合は中途半端な数値を選択する方がまれなので、それほど問題にはなりませんが。

 もう一つの方法。
 「ブラウザ」で下から三つの「閉じた線形状」を同時に選択し、同時に「均等拡大縮小」コマンドを実行します。
 この場合、複数の線形状が同じ拡縮量で変更されるので、大きさを合わせる苦労はないのですが、軸方向の大きさ(「閉じた線形状」間の距離)まで変更され てしまうので、径を変更した後でそれぞれの「閉じた線形状」の位置を修正する必要があります。
 複数回の「均等拡大縮小」コマンドの拡縮量を合わせるよりも、まとめて拡大して位置を修正する方が楽ですが、修正する「閉じた線形状」の数が多くなると そうも言い切れません。これもケース・バイ・ケースですかね。

 ともあれ、ここまで段付きの軸形状が出来上がりましたが、段付き部分の切断が二カ所だったので段部分がテーパーになっているハズです。これを修正するた めに、段の内径側の「閉じた線形状」(※「ブラウザ」では上から三番目)を選択し、段の外形側(※「ブラウザ」にて上から四番目)の「閉じた線形状」と同 じ位置まで移動します。
 この操作は、外径を変更する前に行っても結果は同じです。

 以上で、縦断面が凸型の閉じた軸形状が自由曲面で出来上がりました。
 全て文章で書き起こすと、非常に面倒臭い手順みたいですが、Shade の操作が理解出来ていれば、3分と掛からずに出来る作業です。

 さて、本稿はあくまでも Poser 向けのモデリングについての記事ですので、ここで終わりではありません。
 前述までで製作した「自由曲面」の形状を Poser で扱えるポリゴンに変換しなければなりません。

 ポリゴンに変換する前に、前回に長々と述べた「エッジ処理」を行っておきます。
 前回も書いたように、「エッジ処理」はエッジの前後でフラットなポリゴンを切断して行う物ですが、ポリゴンに変換する前に処理しておいた方が楽な場合が 多いのです。
 今回の例題のような円柱形状の場合、回転軸(中心軸)に対して直交方向に切断するのはポリゴン化してからでも手間は大差ないのですが、円周方向への切断 は Shade7 には適当なポリゴン編集の機能が無いので、自由曲面の状態で行った方が手間が少なくて済むのです。
 手順としては、先ず、編集対象を軸方向の線形状に変更します。
 「開いた線形状」のいずれか一つを編集可能状態にし、エッジの前後をショートカット「Z」+「X」+マウスポインタにて切断していきます。今回の例題、 縦断面が凸形状であれば、エッジは四カ所あるので、その前後、合計八カ所を切断します。
 その状態で、編集対象を円周方向の線形状に変更すれば、自由曲面は14の「閉じた線形状」で構成されている状態になります。

 最後に、「自由曲面」を選択して「変換」コマンドを実行。これによりポリゴンメッシュに変換されるわけですが、このとき分割数を決定するウィンドウが開 きます。ここでは縦方向(軸方向)と横方向(円周方向)の分割数を入力しますが、円柱形状の場合は横方向(円周方向:デフォルトでは4になっているハズ) の分割数を適切に入力して下さい。縦方向(軸方向)の分割数は変更する必要はありません。
 横方向(円周方向)の分割は特に理由がなければ、4の倍数にしておくのが、後々、編集が必要になった際に便利です。16分割が基準と思って良いですが、 円柱形状の直径が大きい場合は分割数を増やした方が良いでしょう。これも後の使用状況によってケース・バイ・ケースではありますが。

 以上で、自由曲面で製作した形状が、Poser でも利用出来るポリゴンになりました。
 この他に、中心軸方向の断面を線形状で製作して回転体で製作する方法とか、中心軸に垂直な円断面を自由曲面パートに入れていって製作する方法などが考え られますが、どれが正解、と言う話ではありません。
 要は自分の考えやすい方法で製作すればいいだけの話で、すべてがケース・バイ・ケースです。

 
3.ところで
 

 
上記までを打ち込んだのが 2008 年の6月の事。
 その時点ではまだしばらく Shade を使い続けるつもりでいたのですが〜実際、ここの更新を放置している間に主用ツールを Shade から Ciname4D へ完全移行しました
 現時点でもう、ほぼ1年近く Shade を触ってもいないし(笑)、今更、Shade に関する記事を書くのもどうかな〜と。
 ここの記載についても、解説図を追加して構成を仕上げるつもりだったような気がしますが、既に、当時の構想も頭の中から完全に消滅。無かったことにしよ うかとも、思ったのですが〜まぁ、折角ここまで打ち込んであったのだから、このままアップすることにしました。

 そんなわけで、次回(いつになるかは分かりませんが)
からは、Ciname4D で製作したプロップを Poser へ持ち込むことに関して記述していこうかなと言うわけで、この項ここまで



− 了−
 2009/12/12  記


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