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Rev.02.02


Poser 用 DC(Dynamic Cloth)服の製作について作業メモ


 Cinema4D にてモデリングした衣装モデルを、Poser へ持ち込んで DC 服としてセットアップする手順についての備忘録です。
 Poser 用衣装モデルは、コンフォーム服(※コンフォームしてフィギュアに追従させて使用する服、実質的に服自体がフィギュアとしてセットアップされている)が一 般的で便利ではありますが、タワミとかシワといった表現に乏しく、スカートなどのポージングは却って操作が煩雑になったりします。また、フィギュのポーズ に対して破綻する(※主に股関節や肩関節)のを回避するための影響範囲設定や JCM の組み込みなどの作業が非常に面倒且つ手間が掛かります。
 DC 服はその辺りの手間が無い反面、同一フィギュアを素体としたモーフフィギュアで、体型を変えてしまうと DC 服が使い回せない、と言うのが欠点ですが〜自作する場合は、一旦、コンフォーム服化する事で使い回しが出来るのに気がつきました。
 今回はその辺りの手順を、忘れないようにメモしておきます。 

 
1.取り敢えず、モデルを作らない と始まらない
 
 先ず、衣装モデルを製作する対象となるフィギュアが存在するはずなので、初期状態のポーズで .obj ファイルとして書き出し、マネキンとします。わたしはモデラーとして Cunema4D R10.1 を未だに利用していますので(笑)、そちらへと持ち込みます。
 ソフトによって、サイズの調整とか細々とした調整や設定 や注意点などありますが、取り敢えずその辺りは割愛。
 兎に角、マネキンに合わせて、衣装モデルを製作します。UV 展開や、テクスチャ製作も全て終わらせ、先ずはモデルとして完成させます。
 今回の実作業としては、Poser からフィギュアを持ち込むまでもなく、ベース・フィギュアは C4D でモデリングした「HDG-Akane(FF02)」なので、それをマネキンとして使用。これに合わせて、衣装モデルを製作しました。

 ここから、Poser へ移行するための準備です。
 目標は DC 服にする事なのでベースは一枚ポリゴンになる必要があります。が、一枚ポリゴンでも部分でマテリアルを変えたい場合があります。C4D では選択範囲毎にマテリアル設定を変える事が出来ますが、.obj ファイルとして書き出すと、その設定が引き継がれません。
 そこで、マテリアルを変えたいパーツ毎に、オブジェクト を分割します。今回製作したシャツとスカートの一体物の場合、胸から上のシャツ部分、腹部のベルト部分腰から下のスカート部分、そしてベル トの飾りボタンの四つを別マテリアルとするために、パーツを分割しておきます。
fig.009-01
 これを、.obj ファイルとして書き出せば、モデリング作業は終了です。
 因みに、C4D は開いているプロジェクト上の全てのモデルを書き出してしまう仕様なので、書き出しを行う際は空のプロジェクトを開いて、そこに書き出したいモデルだけを コピーして書き出しましょう。この辺りの仕様は、現行バージョンではどうなっているのか。
 

2.Poser で取り敢えずフィギュア・セットアップ
 
 
製作した衣装モデルを Poser へと読み込みますが、C4D で書き出した .obj ファイルは先に記したようにマテリアル単位で分割されていますので、Poser で読み込む際には「頂点を溶接する」オプションを ON にします。
fig.009-02
 読み込んだプロップをフィギュア化するためにセットアップ・ルームへ移動。
 本稿では Poser は、PoserPro2014 を使用していますが、このバージョンでは既存フィギュアからボーン構成を流用する際に、流用するボーンを指定できるようになっているので、後で不要なボーンを手作業で削除する手間がいらないの で非常に助かります。
 今回の製作したのは自作フィギュア「HDG-Akane」をベースにしたモーフ・フィギュア用の衣装モデルなのですが、現時点では「Akane」用のモ デルになっているので〜「HDG-Akane」からボーンを流用します。
 今回は下画像のようにボーンを選択。スカートは腰から下は、全て「Hip」扱いとなります。
fig.009-03
 これで、パーツ分けも自動で行われますが、左右非対称 だったり、不必要に複雑なパーツ分けにされたりするので、手動でパーツ分けは確認、再調整を行います。特に、「Chest」と 「Collar」の分割と、「Collar」と「Shldr」の分割は要注意。脇の下が「Collar」になってい無いと、後でおかしな事になる場 合があるので、注意しましょう。
 これで、フィギュア・セットアップは一旦終了。ポーズ・ルームへと移動して、この時点でのフィギュアをライブラリに登録しておきましょう。このフィギュ アをコンフォーム服として使用するわけではないの で、影響範囲の調整や、JCM の組み込みなんかの作業は必要ありません

 
3.DC 服としてセットアップ
 

 
今度は DC 服としてセットアップするために、フィギュア化した衣装モデルを一度、連続したポリゴンとして書き出しま す。
 Poser のフィギュア・モデルは内部的にパーツ毎に分割されたポリゴンになっているのでこの一手間が必要となります。
 .obj ファイルとして書き出す際には、「パーツ間を溶接する」と「ポリゴン・グループに存在するグループ名を含める」オプションを指定します(下画像参照)。
fig.009-04
 次に、ここで書き出した .obj ファイルを読み込みます。これを DC 服としてセットアップします。
 DC 服へのセットアップについては本稿の趣旨の範疇ではないので、割愛。
 ケース・バイ・ケースでパラメータなど設定して DC 化しましょう。
 DC 化、テストが完了して、設定が完了したら、DC 服としてライブラリへ登録します。
 ここでライブラリ登録した DC 服プロップ、.pp2 ファイルにはオブジェクト・データが書き込まれているので、これをテキスト・エディタで開いて、外部参照方式に書き換えます。下画像は、ライブラリに 登録した時点の .pp2 ファイルをテキスト・エディタで開いた物。
fig.009-05
 「prop FF02_A_ST_TSSK01AP_DC」から始まる記述がオブジェクト・データ部分で、これを下画像のように書き換えます。
fig.009-06
 「prop」の名称も変えてますが、「geomCustom」以下の数列を全て削除して、「storageOffset」から .obj ファイルのアドレスまでの記述を書き加えます。オブジェク ト・データ数列を削除する際に括弧(「{」と「}」)の対応を間違えないように注意してください。
 括弧の対応に過不足があると、Poser 上でファイルが開けません。
 「prop」の名称を変更したのは、管理上の都合で 分かりやすくするためです。旧名称「FF02_A_ST_TSSKT01AP_DC」をテキスト・エディタの置換機能で 「Akane_ST_TSSKT01AP_DC」に全て置き換えました。


4.モーフ・フィギュア用の DC 服としてセットアップ
 

 
次は本来の目標である、モーフ・フィギュア用の DC 服としてセットアップするのですが、DC 服のセットアップ自体は前段階で終わっているので、実際に行う作業はモーフ・フィギュア用の衣装モデルに .obj ファイルを変換し て、読み込むファイルの指定をすげ替えるだ けです。
 具体的な手順は、最初に、以前製作したベース・フィギュ(※今回の場合は「HDG-Akane」)用にフィギュア化した衣装モデルをライブラリから読み 込みます。
 これをセットアップ・ルームへと持ち込んで、変換したいフィギュアのボーン設定と置き換えます。手順はプロップをフィギュア化する時と同じで、今回は 「HDG-Tomoko」をライブラリで選択し、同じボー ン構成で読み込みます。
 これで、衣装モデルのボーン設定が「Tomoko」と同じになるので、各ボーンの拡縮設定が移植され、衣装モデルが「Tomoko」用のサイズに揃いま す。但し、胸の設定のみは不自然になるの で、ここはエクストラ・ボーンの拡縮設定を調整したり、 モーフパテ・ツールで整形します。
 ここで出来上がった「Tomoko」用の衣装モデル・フィギュアを、.obj ファイルとして書き出します。この作業は前項「3.DC 服としてセットアップ」の前半と同じで、連続したポリゴンとして書き出します。勿論、最初に作った「Akane」用の物とはファイル名を変えておきます よ。

 次に、「Akane」用の DC 服としてライブラリに登録した、.pp2 ファイルのコピーを製作して名前を変えて保存し、それをテキスト・エディタで開きます。
 そして、オブジェクト・ファイルの参照先を先程書き出し た、「Tomoko」用の DC 服オブジェクト・ファイルのアドレスへと書き換えます。基本的にはこれで作業終了ですが、管理上の都合で 「prop」の内部名称も、テキスト・エディタの置換機能で一括変換しておくのがよいでしょう。
 DC 服としてのセットアップは全段で完了しているので、パラメータの引き継ぎなどは以上で終了。マテリアル設定も当然、引き継いでいます。



 こんな感じで、一度、DC 服を設定すれば、体型を変種したモーフ・フィギュアにでも簡単(笑)な作業で、衣装データの使い回しが出来るよ うになりますよ、
と言うわけで、この項ここまで



− 了−
 2016/05/28  記


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