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Rev.02.01


●ポストワーク
について・その1:「画像合成」



 
以上の処理を全て終わった時点でのレイヤー構成を掲載しておきましょう(↓参照)。
Fig.4.08
 レイヤーは上から、「ブラー処理」>「主題画像」>「裏打ち」>「合成フィルタ」>「アップ画像左肩レタッチ」>「アップ画像」となっています。
 画像は
oC 4.5+ の画面キャプチャです。

 さてさて、この合成手法は今回のような強引な合成の場合以外にも応用が利きます。
 例えば、作品 PS000015A1 「BACK to BACK」の構成画像の一つ(↓画像参照)。
Fig.4.09
 この画像の背景のピンボケは今回説明した手法にて oC で処理したものです。
 これも、レイヤー構成を掲載しておきましょう(↓参照)。
Fig.4.10
 元画像の複製に「ぼかし(強)」を掛けた上に更に「ぼかし(ガウス)」を掛けたものを『比較(明)』モードで重ねています。
 ユキさんを中心に外へ行くほど強くぼかし画像が出るように、円形グラデーションでマスクをして、ぼかし処理画像のユキさんは元画像に重ならないように消しているわけです。合成マスクの方も、ユキさんの部分を消したものを使用しています。
 ここで、合成マスクにせよぼかし処理画像にせよ、消している部分の境界線は oC の消しゴムで手作業にて消していますが、一番下に元画像があるので、少々境界線がぶれても殆ど気になりません。

 更に、作品 VU000012A1 ですが、これのレンダリング元画像は↓のような結果でした。
Fig.4.11
 これは元々が 1500×843 にてレンダリングされています。上では縮小されているので分かりづらいですが、背景がかなりザラついています。Vue にてアンチエイリアスを掛けずに非写界深度を適用するとこうなるんですが〜これは、レンダリング時間を短縮するための手段で、最終表示サイズが約半分であ ること(と言うよりは最終表示サイズの約倍でレンダリングをやったわけですけど)と、背景をポストワークするのを前提にやってます。

 背景の処理としては、取り敢えず粒状感をぼかして滑らかにしたいのと、動き表現するためにモーションブラーを掛けたいわけなんですが〜モーションブラーは普通に考えるとちょっと難しい。
 可成り遠景の山が写っていますが、遠くの風景はピンボケはしても移動ボケはしません。上の画像には遠・中・近、三つの山があるので手前から順に移動ボケの量が自然に変わっていって欲しいわけです。
 そこで、この作品には↓のような仕掛けをしてます。
Fig.4.12
 レイヤー構成、下から説明しますと、一番下がオリジナルの画像です。これに「透明→黒」の合成マスクを『乗算』します。
 すると、下から上に向かって元画像はグラデーションでマスクされます。
 これに、元画像の複製にモーションブラー処理をした画像を重ねますが、このレイヤーには予め先ほど作った「透明→黒」の合成マスクの複製を上下反転したレイヤーを合成してあります。
 つまりブラーの掛かったレイヤーの画像は上から下に向かって黒のグラデーションが掛かっているわけですね。
 これを『加算』モードで重ねてあるので、結果、背景は画面手前(下)から画面奥(上)に向かって段々とブラー画像から元画像に入れ替わって表示される〜上に行くほどブラーが掛からなくなる、と言う寸法。
 但し、このままだと主題である人物もブラーが掛かって見えてしまうので、元画像を再度複製し
不要な背景を消して、一番上のレイヤーに置いてあるわけです。
  ここでも、元画像が一番下にあるし、すぐ下のブラーが掛かった画像も元は同じ画像なので、一番上に置いたレイヤーの消去境界線は少々ラフでも殆ど気になり ません。oC の消しゴムのエッジボケの絶妙さも相まって、非常にスムーズに作業が進められます。例えば、この作業を PSP でやったとしても、こうは楽には出来ません〜いや、マジで。PSP の消しゴムは oC ほどきれいにエッジがぼけてくれないんですよねぇ…。

 以上のように、非写界深度やモーションブラーなど、レンダリング時間に影響する処理をポストワークで肩代わりしているわけですが。そう言った作業の時の、何かの参考になれば幸いです。


 


− 了−
 2006/11/04 記


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